2022.09.02
塗装できない外壁?【難付着サイディング】の判断、処理方法など
建物のメンテナンスをする際に、必ずと言っていいほど行われる外壁塗装ですが、外壁材の中には塗装が付着しにくいものがあります。そういったサイディングを難付着サイディングといいます。
難付着サイディングとは光触媒や無機系、親水性、フッ素などで塗装、コーティング加工された外壁材のことを指します。外壁材メーカーが汚れが付着しにくい外壁材を追求し続けた結果、外壁に付着した汚れを分解する光触媒、色があせにくい性質をもった無機系塗料、水で汚れを落としやすくする親水性に長けた塗料、きれいな状態を保つフッ素系塗料でコーティング加工された外壁材が、近年たくさん使われています。
万が一、業者が誤って難付着サイディングに塗装をしてしまった場合、塗料にもよりますが、すぐにはがれてしまう可能性が非常に高いのです。そういった事故を防ぐためにも、どうすれば自身の住宅の外壁は難付着サイディングなのかどうかを判断できるのか知っておくことは非常に大切です。
関連記事:ちょっと待って!塗装できない屋根や外壁
目次
1.難付着サイディングの判断方法
A.製品情報から判断する
B.見た目から判断する
難付着サイディングの判断方法
製品情報から判断する
難付着サイディングかどうかを確かめる最も確実な方法は、お宅を建てたときの設計書や仕様書を確認するやり方です。お宅を建てたときにどこにしまったのかよく思い出して、設計書、仕様書を確認してみましょう!
また、新築時にした建設会社との会話も思い出してみましょう。10年経って汚れが付着している場合でも、その時の技術力が今よりも低かっただけで、サイディング自体は難付着サイディングである可能性があります。もしも、業者さんと打ち合わせをした際に、汚れにくい外壁だよとアピールされていたら、「難付着サイディングかも?」と考える手掛かりとなるかもしれません。
次に確認するのはその建物が2001年以降に建てられたのかどうかです。なぜ2001年なのかというと、理由は単純で、2001年に難付着サイディングが使われ始めたからです。ご自身のお宅がいつ建てられたか調べる方法としては、登記簿、登記事項証明書または登記申請書を確認して、記載されている新築年月日から確認することができます。
参考:何を見れば実際に建てられた年月日を確認できますか-ソニー損保
・光触媒塗料による塗装やコーティングがされている
光触媒塗料を塗っている壁に光があたると、ラジカルが発生する化学反応が起こります。それが、汚れを分解するとともに、超親水作用(水が汚れと外壁の間に入る)が発生し、水で汚れが落ちるようになります。実際に家の外壁が光触媒塗料でコーティングされている場合、日光により汚れが分解され、超親水作用で雨が外壁についた汚れを落としてくれます。
・無機系塗料による塗装やコーティングがされている
無機系塗料は主成分はセラミックや、ケイ素などの「鉱物」で構成されており、これは陶磁器などの成分と似ています。よって無機系塗料でコーティングすると、つるつるとした表面になって、汚れが付着しにくく、落ちやすくなります。また、紫外線にも強いといった特徴もあります。
・親水性塗料による塗装やコーティングがされている
親水性とは、水になじみやすい性質のことです。具体的には、外壁を親水性塗料でコーティングすることで、雨が降った際に、雨が汚れの下に入り込み、汚れと一緒にながれていくようになります。
・フッ素塗料による塗装やコーティングがされている
フッ素樹脂加工と聞けば、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。フッ素樹脂加工はよくフライパンに使われます。焦げや、汚れを付着しにくくするためです。塗料も同じで、外壁をフッ素塗料でコーティングすると、油や汚れが付着しにくいという効力を発揮します。
見た目から判断する
難付着サイディングの最大の特徴は「いつまでも綺麗が長続きする」ことです。色褪せしにくく、チョーキングも発生しにくいのです。また、光触媒や親水性の技術が本格的に実用化されたのは21世紀に入ってからです。汚れにくく、耐用年数が長いことやお家を建てられた年代に注目することでも見分けることが可能です。
・築10年でもチョーキングが発生しない
難付着サイディングは非常に劣化しにくく、耐用年数もかなり長いのが特徴です。よって、新築年月日から起算して10年経過していても、チョーキングが発生することはありません。
10年経っていて、まだつやがあり、チョーキングが発生していないなら、難付着サイディングである可能性が高まります。
・2001年以降に建てられた建物である
先ほどにもあったように、難付着サイディングは2001年以降に使われるようになりました。
築年数が短ければ短いほど、難付着サイディングが使用されている可能性が高まります。
・ラッカーシンナーでも塗料が溶けない
外壁を塗装するとき、塗料用シンナーを使って塗料を希釈(薄める)して、塗りやすくしてから塗装していきます。この塗料用シンナーよりも溶解力が高く、乾燥が早く、特有のにおいがするシンナーをラッカーシンナーといいます。このラッカーシンナーで溶けない場合は難付着サイディングの可能性が高いと言えます。
難付着サイディングの塗装方法
劣化しにくく汚れにくい難付着サイディングですが、経年劣化は徐々に進行していきます。そこで、「劣化してから塗装することはできないのか。」といった不安が出てくると思います。確かに汚れが付着しにくいが、同時に塗料も付着しにくい難付着サイディングですが、塗料と外壁材を密着させるシーラー(下地材)が開発されたので、しっかりと塗料を密着させることができるようになりました。
ここで重要になってくるのが、業者選びです。サイディングが難付着サイディングなのに、シーラーを塗らずにそのまま塗料を塗ってしまうと、塗装不良を起こし、塗料の耐用年数を待たずにはがれてしまう可能性があるからです。
先ほど、難付着サイディングは無機系塗料でコーティングされているものがあると述べましたが、実際は無機系と有機系の塗料が使われています。基本的に無機系の塗料には無機系の下地材、有機系には有機系の下地材が密着します。よって、難付着サイディングに塗るシーラーは有機系と無機系どちらもハイブリッド配合されているものである必要があります。そこで開発されたのがエポキシ系シーラーです。
業者選びには最新の注意を!
難付着サイディングなどの専門知識を持たない業者に仕事を依頼してしまうと、耐用年数を待たずに塗料がはがれてしまいます。そういった施工不備が原因で、実際リフォーム業界は非常にクレームの多い業界です。あまり下調べせずに、塗装屋だから塗装のことはプロフェッショナルにこなしてくれると思って塗装工事を依頼するのは非常に危険な判断です。事前にどういった工事を行っているのか、しっかりと実績があるのかを確認して、慎重に業者を選ぶようにしましょう。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!