いつの時代でも、お家に温かみを与えてくれるのは木の屋根です。木の屋根の素晴らしいところは、見た目だけじゃなく、その機能面です。
木材には断熱の効果があるのを知っていますか?夏場でも冬場でも、部屋の温度を一定に保つ効果があります。
屋根の葺き替えは大規模な工事で、かなりたくさんのお金を投資しないといけませんから、お金と時間を無駄にしないためにも、事前にこの記事をとおして、木の屋根に関するすべてを学んでおきましょう。
以下が本日話す内容です。
目次
木の屋根とは
木の屋根のことをよく知るには、その歴史を知ることが重要です。
縄文時代から弥生時代の屋根は草履きでした。草葺きはススキやチガヤ、スゲ、アシ、稲藁、小麦藁などからできています。草ぶきを称して、茅葺きといわれることもあります。茅葺き屋根は皆様にも聞きなじみがあるんじゃないでしょうか?
茅葺き(かやぶき)は、建物の中にに水が侵入しにくい構造になっていて、耐久性に優れ、耐用年数は30年以上と言われています。
しかし、火には弱く、防風や強風に吹き飛ばされるデメリットがありました。
そこで、古墳時代から安土桃山時代にかけて、檜皮葺き(ひわだぶき)や杮葺(こけらぶき)といった手法が台頭してきました。
檜皮葺(ひわだぶき)とは檜(ひのき)の樹皮を用いて施工する日本古来の歴史的な屋根葺手法で、7世紀後半(飛鳥時代頃)にはすでに文献に記録が出てきます。
日本木材学会40周年記念大会では「化石資源から木質資源へ」という宣言がされています。その背景には地球温暖化を防止する効果が期待されていること、木が再生可能な資源と考えられていることにあります。
ウッドシェイク屋根はちょっと古臭いなと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありませんよ。ウッドシェイク屋根は唯一無二で落ち着いた印象が好きな人、アメリカンな伝統的な見た目を好む人に好まれています。近年では手ごろな価格で手に入るアスファルトシングルを屋根材に使用しているお家が多いですが、適切な木製屋根材を選択した場合、驚異的な耐久性を発揮するため、木の屋根は長年にわたって愛され続けています。
ウッドシングルとウッドシェイクどっちがいい?
シェイク屋根にするかシングル屋根にするかを決める前に、使用する木の種類を決める必要があります。杉や松は、どちらも木の屋根材の種類の一つです。ここで、美観と耐久性を重視するならば、杉のシェイク屋根を使用するべきです。
シングルとシェイク、この2つを見分けるのはすごく簡単です。ウッドシングルはサラッとした均一な仕上がりになります。足してウッドシェイクはぼこぼこしたワイルドな仕上がりになります。ですから、モダンな仕上がりにしたい人にはウッドシングル、木の材質を感じる仕上がりにしたい人にはウッドシェイクをお勧めします。
木の屋根の種類
木製屋根は、たくさんの種類があるため、今から木の屋根にしたい人は「どの屋根にしたらいいんだろう」と不安になってしまいます。木製屋根の種類によって、色、デザイン、耐久性が異なります。ここではメジャーな7種類の木製屋根材を紹介します。
1. チークシングル屋根
チークは木の船を作る際に使用される機で、耐水性に重きを置いている人にはお勧めです。チークは天然のシリカ含有量が高いため、湿気に強く、コケ、菌類、カビの発生を防ぎます。
もしお住いの地域がよく雨が降る地域であればチークシングルはよい選択です。ただし、チークの色は濃い茶色のみなので、色の選択肢はかなり限られています。
2. パインシェイク屋根
暗い色をあまり好まない場合は、パインシェイク屋根が良いかもしれません。パインシェイクは、色が明るいことに加えて、通常の屋根板よりも厚く、均一な独特の仕上がりになります。
パインとは松のことです。松は針葉樹で、デザイン性の高い木目と高い加工性を備えており、お好みでデザインをカスタマイズすることができます。
3. シダーシングル屋根
シダーシングル屋根は、強度だけでなく、柔軟性と耐候性が高いことで有名です。そして、今回紹介する選択肢の中で最も財布にやさしい素材です。シダーシングルにはホワイトシダーとウェスタンレッドシダーがあります。どちらを使用しても、美しい仕上げと心地よい香りを備えた屋根になります。
4. シダーシェイク
杉の木で作られたシェイクの特性はシダーシングルと同じです。主な違いは、シダーシェイクは厚みがあり、木の質感を感じることができる外観に仕上がることです。シダーシングルよりもごつごつした素材感を感じる外観に仕上がります。
5. ワラバシングル屋根
この木製屋根は、耐久性もさることながら、自然な雰囲気を実現できます。ワラバシングル屋根は、油性の樹脂とゴムの滲出液のおかげで、シロアリ、腐食、火災に対する耐性を兼ね備えています。ワラバシングル屋根は濃い赤茶色をしており、時間の経過とともに美しい銀色がかった緑青に変わります。このタイプの屋根材はアメリカの気温が高い地域でよく見られます。
6. 複合シングル屋根
「実際の木材を屋根材として使用することに少し抵抗があるけど、木のデザイン性は好きなんだよな」という方には、複合シングル屋根をお勧めします。天然の木を使用するときについてくるデメリットはなく、本物の木製と同じ外観に仕上がります。
複合シングル屋根は、リサイクル材料または合成ポリマーで作られているため、合成屋根板または複合合成屋根板と呼ばれます。このため、衝撃と極端な気象条件の両方に対して非常に耐性があります。
7.セコイアシングル屋根
このタイプの木製屋根材は、虫害に強く、耐久性があります。セコイアシングル屋根は表も裏も滑らかなので、屋根だけでなく壁にも使用されます。
木の屋根の長所
ここでは屋根に木材を使用するメリットをいくつか紹介します。例えば、
- 美観: 木製屋根には個体差があるため、いろんな色、形や木目があります。お家が唯一無二の見た目に仕上がります。また、経年変化により色が変わっていくので、生命を感じるあたたかな魅力があります。
- オリジナリティ: 最近では、ほぼすべてのお家でアスファルトシングルが使用されています。お家にオリジナリティを持たせるには木製屋根を使用するのがよいでしょう。特にウッドシングルを使用すると、より特別な見た目に仕上がります。
- 軽量: 木製屋根は、家がその重量に耐えるための追加の支持構造を必要としません。また、軽量なので持ち運びや設置も楽になります。こういった理由により、スレート屋根を設置する場合と比べて、設置コストを大幅に削減できます。
- 省エネ: 木製屋根は自然の断熱効果があるため、光熱費を節約することができます。冬には家を暖かく、夏には快適に涼しく保つことができます。
- 耐久性:木材が屋根材として長持ちする理由の秘密は、天候や気温の変化によるほとんどの外部条件に耐えるその能力にあります。木製の屋根は、強風や、落ちた枝や雹による衝撃からお家を守ることができます。
- 環境に優しい:ウッドシェイクやシングルが製造される時も廃棄される時も、非常に環境に優しいのが特徴です。製造時に木が伐採されても、植林により再生することができます。また、寿命を迎えた屋根板は分解されて自然に返すことができます。
木の屋根の短所
木の屋根を使用して、本当に問題が起こらないか、ほかの選択肢はなかったのか後悔しないためにも木の屋根の短所を知っておくことは非常に重要です。
- 耐用年数: 木製屋根の平均耐用年数は 20 ~ 25 年です。ただし、チークなどの一部の種類の木材は、最長 80 年使用できるものもあります。
- 火災に弱い: これは木製屋根の最大の短所です。実際、山火事が発生しやすい地域によっては、安全上の理由からその使用が禁止されているところもあります。火災が怖いという方には、最新のタイプの木製屋根の 1 つである複合屋根板を使用することをお勧めします。。
- 虫がつきやすい: シロアリなどの一部の昆虫は、木に住み着き、木を食べて生活するので、水分を含んだ木に住み着いてしまうのは珍しくはありません。加工処理とシーラントで防ぐことはできますが、定期的なメンテナンスは必須です。
- 湿気に弱い:湿気は木材の大敵です。木製のフェンスや屋根などの木製の材料に雨が入り込んでしまうと、材料が膨張したり反ったりする可能性があります。こうなると、カビ、水漏れ、水害、苔の繁殖など、ほかにも多くの問題が発生する可能性があります。ウッドシェイク屋根を塗装したりしても、100%水の侵入を防ぐことはできません。
- メンテナンス:木製屋根は、特に湿気が多く寒い気候の地域に住んでいる場合は、適切かつ定期的なケアが必要です。そうしないと、上記の問題を事前に防ぐことはできません。したがって、メンテナンスに手間がかかるのが嫌な場合は、代わりにスレートを選択した方がよいでしょう。
木製屋根の費用
木製屋根の設置には、平米当たり600円から1600円の費用がかかります。また、杉のシェイク屋根を設置する場合は、平米当たり平均1200円の費用が相場です。この金額には人件費と材料費が含まれていますが、屋根葺き替えの総費用には次のような他の要因がかかわる可能性があります。
- 屋根の勾配
- 屋根のデザイン
- 側溝
- 煙突の有無
- 屋根デッキ材
木製屋根が自分に適しているか
木の屋根は本当にあなたの生活に合っていますか? 屋根工事業者に屋根の葺き替え工事を依頼する前にウッドシェイクもしくはウッドシングルを本当にあなたの家の屋根に使うかどうか判断しましょう。以下の項目に目を通してみて下さい。
- 住宅所有権: 木の屋根を設置してから20年ほど住む場合は、総投資の額を抑えることができます。しかし、20年以上住み続ける場合は、木製屋根の耐用年数は約20年のため、葺き替え工事を行う必要があります。スレートやアスファルトシングルの耐用年数は20年以上あるため、葺き替え工事の費用を抑えたい場合はこれらを使用しましょう。
- スタイル: ウッドシェイクルーフには、エッジグレイン、テーパーソーン、フラットグレインなど、多くのスタイルの選択肢があります。しかし、本当に見た目にこだわりを持っている方以外、アスファルトシングルなど、他の種類の屋根材を使用するのがよいでしょう。屋根も家の見た目に合わせるべきです。よって、サイディングも木でできている家には木製屋根の相性はいいです。しかし、あなたの家が最近っぽい見た目の場合は、代わりにスレート屋根やアスファルトシングルを選択するのがよいでしょう。
- 場所: これは非常に重要です。お住いの地域で山火事が発生する可能性がある場合、耐火コーティングを施した木製屋根であっても、完全に火事を防げるわけではありません。
- 価格: 木製屋根は定期的なメンテナンスが必要なので、長期的にみるとお金がかかります。そのお家に20年くらいしか住む予定がない場合は、葺き替え工事が必要ないため、費用は抑えることができます。
- 断熱: 木製屋根を設置することで、光熱費を削減することができます。さらに、木製屋根の下に断熱材を入れると、より費用を削減できます。
木造屋根に関するよくある質問
木造屋根っていいんですか?
火事が発生する点を除けば、木製屋根は素晴らしいです。木造屋根の最大の特徴は、熱を伝えにくいことです。その結果、夏でも冬でも部屋を一定に保つため、光熱費を節約できます。木製屋根は風にも強いため、強い風が吹く地域に住んでいる方にもお勧めします。
木造屋根の最大のデメリットは何でしょうか?
間違いなく、火に弱いことです。対策としては、屋根葺き業者に難燃剤やその他の防腐剤を木製屋根に塗布してもらうことができます。ただし、このデメリットを根本から解決したい場合は、代わりに複合屋根板を使用します。本物の木材ではないかもしれませんが、合成木材であるため、このデメリットはなくなります。さらに、反りやカビの発生など、木材によくある問題を解決できます。
屋根材に最適な木材はどれですか?
屋根材に関しては、今でも杉がメジャーな木材です。ほとんどのメーカーは、その耐久性、自然な耐候性、柔軟性を理由にそれを選択しています。
あなたの家に適した屋根材の種類を選択しましょう
あなたの家に適した屋根の種類を選ぶことは、非常に大事です。見た目や価格以外にも考慮すべき点はたくさんあります。木製屋根の葺き替え工事に関するより具体的な情報については、地元の屋根工事会社に連絡してサポートしてもらいましょう。